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ガチャリと、玄関のドアが開く音が聞こえた。スグルが帰ってきたんだ。お願い、早く。
「ただいま」
「…………ス、グル……」
途切れながら言ったその言葉をスグルはちゃんと聞き取ってくれたらしい。優しく、微笑んで私をベッドまで運んでくれた。
「どうした?」
少し心配そうに私を見るスグルは、次に私が言う言葉を知っているかの様に思えた。
私は息を吸い込んで、また吐き出して、動く四肢を見て、スグルを見る。そして。
「スグル…………――して」
聞こえたかわからないけれど、スグルが頷いた様に見えたから私は瞼を下ろした。
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