やさしい気持ち

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  「何赤くなってんの?」  と瑛一が首をかしげて聞く。 「何でもない」  辰実があわてて否定すると、瑛一は気にも止めず辰実の持ってきたお菓子に夢中になり始めた。  瑛一は家に二人きりでも意識しないのかな……。  自分だけがドキドキしていてなんか悔しい。 「タツ、開けていい?」  瑛一はきれいにラッピングされたお菓子の箱を持って嬉しそうに差し出した。 「おばさんに渡してからね」  小さい子供をなだめるように辰実が言うと、 「こっちは?」  とリボンが付いたプレゼントの袋を瑛一が取り出した。 「それは……」 「俺にか?」  明らかに嬉しそうな顔をした瑛一に、 「ごめん。違う」  と辰実は軽く否定した。  叱られてしょげた犬のような顔をした瑛一は、 「香月葉にか?」  と聞く。 「いや。瑛一から和美ちゃんに渡してもらおうと思って」  辰実はリボンが付いたプレゼントを手に取った。 「自分で渡さないの?」  瑛一が聞くと、 「渡そうと思ったんだけど……」  と辰実が口ごもった。
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