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まだなれない長い授業も終わり、帰り支度をしている辰実に、瑛一が話し掛けてきた。
「タツ、今日暇?」
「? あいてるけど」
「お好み焼き食いに行かない?」
突然の瑛一のお誘いに、辰実はバッグに教科書を詰める作業を中断した。
「行く! お好み焼きいいね!」
辰実の反応に、瑛一は満足げに微笑み、続ける。
「うまいんだよー。ヒロなんて毎日行ってるよ」
「そんなにおいしい店なんだ?」
お好み焼き……おいしそう。と、辰実もつられて笑顔になる。
瑛一は決まり! と嬉しそうに言うと、リュックを肩にかけた。
「まぁ、行ってからのお楽しみだな! んじゃ校門の前で待ってて。俺はちょっと先生から呼び出し受けてるから」
呼び出しって何したんだ? と思いつつも、入学して二週間たった今日、初めての放課後デートに辰実は気分が上昇した。
「わかった! なるべく早くきてね。待ってるから」
ちょっとだけ彼女気分の辰実だった。
親指を突き出し、ウィンクして瑛一は、教室を後にした。
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