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明らかに元気がなくなった辰実に、瑛一は気付かない。
ただ、辰実の【三年前】という言葉がひっかかっていた。
三年前に出会った、ある女の子を思い出す。
離れた後も会いにいったが、家も何もなくなっていた。
今もどこにいるかはわからないが、笑顔で暮らしていてほしいと願っていて。
「タツ、俺んちこっちだから」
瑛一は振り向き、少し後ろを歩いていた辰実に声をかける。
辰実の目が赤くなっている事に瑛一は気付かなかったが、元気がないことに気付いた。
「タツ、どうした?」
「……なんでもない」
辰実は、赤くなった目で瑛一を見た。
伝えたいけど伝えられないもどかしさを覚え、また明日と言って瑛一の側から辰実は離れた。
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