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家に着いた早々、瑛一はお風呂を使わせてもらい、あがってリビングに行くと、辰実は机に突っ伏して目を閉じていた。
両親は不在らしくシンと辺りは静まり返っている。
瑛一は辰実が座っているすぐ隣の椅子に座ると、髪から落ちる水滴をタオルで拭った。
辰実のあどけない寝顔を見て“かわいい”と瑛一は素直に思って。
サラサラの髪に触れようと手を伸ばすと、辰実はパチッと目を開けた。
「あ! ごめん!」
助けてもらった恩人をほったらかして寝ていた辰実は、慌てて上体を起こす。
「いいよ。寝てて」
瑛一は、もう少し寝顔を見ていたかった。
幼なじみの和美を見るのとは少し違う。
初めて瑛一が意識した女の子だった。
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