三年前の出来事

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   家に着いた早々、瑛一はお風呂を使わせてもらい、あがってリビングに行くと、辰実は机に突っ伏して目を閉じていた。  両親は不在らしくシンと辺りは静まり返っている。   瑛一は辰実が座っているすぐ隣の椅子に座ると、髪から落ちる水滴をタオルで拭った。  辰実のあどけない寝顔を見て“かわいい”と瑛一は素直に思って。  サラサラの髪に触れようと手を伸ばすと、辰実はパチッと目を開けた。 「あ! ごめん!」  助けてもらった恩人をほったらかして寝ていた辰実は、慌てて上体を起こす。  「いいよ。寝てて」  瑛一は、もう少し寝顔を見ていたかった。  幼なじみの和美を見るのとは少し違う。  初めて瑛一が意識した女の子だった。
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