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「ごめん。俺、変な事言ったかな?」
自分の中の初めての思いに、瑛一は戸惑い、慌てて聞く。
「びっくりしただけ」
その様子を見ながら、フフッと辰実は微笑んだ。
「やっと笑った」
瑛一は、微笑んだかと思ったら急に口を閉ざした辰実に話し掛けた。
「何かあったの? 会ってからずっと張り詰めた顔をしてるよ」
「……」
「よかったら話してよ。俺じゃなんの力にもなれないかも知れないけど、話を聞くことは出来るじゃん?」
辰実は戸惑いを隠せない顔で黙って聞いていた。
瑛一は辰実の顔をじっと見て続ける。
「しゃべったらきっと楽になるよ。海に飛び込むくらい思い詰めてるんでしょ?」
瑛一の言葉に、辰実は正直驚いた。
確かに、辰実は自分から海に飛び込んだ。
……あの高さから飛び降りた位では死ねないことも知っていたのに。
……でも、自分を消してしまいたくて飛び込んだのだった。
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