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家に着いた辰実は、制服のままベッドに倒れこんだ。
『和美が好き』
瑛一の言葉が頭の中をかけめぐる。
和美ちゃん……すごくかわいい子だったな。と、ぼんやりと顔を思い浮かべ、今日あった出来事を思い出した。
ケガしたヒジを見るとかさぶたになっている。
和美が渡してくれたハンカチからは、かすかにお香の香りがした。
きっと、女の子らしいかわいい部屋に住んでいるんだろうな。
まだ付き合っているわけじゃないし……望みはある……よね。
辰実は無理に自分に言い聞かせ、制服を脱ぎ、明日の支度を始めた。
翌朝――
目が覚めると8時15分だった。
4時頃まで起きていた記憶はあるが、いつのまにか眠っていたらしい。
やばっ、家を出る時間! と、辰実はあわててふとんをはねのけ、制服に着替えた。
バックをひっつかみ、玄関にある鏡で寝癖をチェックすると、左の方の毛がピョコンと跳ねている。
とりあえず家を出なきゃ! と靴を履き、学校までの道をダッシュで向かった。
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