ドキドキな一日

2/21
前へ
/326ページ
次へ
   家に着いた辰実は、制服のままベッドに倒れこんだ。 『和美が好き』  瑛一の言葉が頭の中をかけめぐる。  和美ちゃん……すごくかわいい子だったな。と、ぼんやりと顔を思い浮かべ、今日あった出来事を思い出した。  ケガしたヒジを見るとかさぶたになっている。  和美が渡してくれたハンカチからは、かすかにお香の香りがした。  きっと、女の子らしいかわいい部屋に住んでいるんだろうな。  まだ付き合っているわけじゃないし……望みはある……よね。  辰実は無理に自分に言い聞かせ、制服を脱ぎ、明日の支度を始めた。  翌朝――  目が覚めると8時15分だった。  4時頃まで起きていた記憶はあるが、いつのまにか眠っていたらしい。  やばっ、家を出る時間! と、辰実はあわててふとんをはねのけ、制服に着替えた。  バックをひっつかみ、玄関にある鏡で寝癖をチェックすると、左の方の毛がピョコンと跳ねている。  とりあえず家を出なきゃ! と靴を履き、学校までの道をダッシュで向かった。
/326ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1813人が本棚に入れています
本棚に追加