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かっこいい人いたらいいな……と、辰実はキョロキョロしながらクラスまでの道のりを進む。
一年A組に着き、自分の席を探していると、ある男の子が目に入った。
よく焼けた肌に少しクセのある髪。
背はすらりと高く、人懐っこそうな笑顔で楽しそうに会話をしている。
その姿に釘づけになった辰実は、『あの時の男の子だ!』と瞬時に分かった。
……三年間逢いたくて仕方がなかった、もう二度と会えないと思っていた人が目の前にいる!
心臓がドキドキと激しく打っているのが分かった。
何て話し掛ければいいのかわからなかったのと、きっと向こうは自分を覚えている事も、わかる訳もないと思ったので、辰実はおとなしく自分の席に着くことにした。
クラスにはちらほら人が居たが、辰実の耳にはその男の子の楽しそうな笑い声だけが届いていた。
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