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みんなが自己紹介を終えると、おおばば様がリレンに尋ねた。
「どこまで話をしたのじゃ?」
「この世界のことは、大体話しました」
「そうか。では、これからのことについて話そうか」
おおばば様はこちらを向いた。
「これも勝手なことだが、そなた達には魔法を学んでもらう。魔法の他にも体術、剣術など、学んでもらわないければならない。全て、身を守る術(すべ)を得る為と承知して欲しい。三年経てば、試験を受け、受かれば自分の身を守れると証明出来る。そうすれば、そなたらは地球へ帰れる。了承してくれるか?」
おおばば様は、本当にすまなそうな顔をしている。
「どうせ、俺達がなにを言っても無理矢理そうさせるんだろう?」
香芝がしかめっ面をして言った。
おおばば様は目を伏せた。
「そうじゃな。己の身を守れなければ、あちらに帰すことは出来ない。許してくれるか?」
おおばば様は二十人、一人一人の目を見つめた。その瞳には、疲れが色濃く写し出していた。
香芝はそれに気付かなかったのか、おおばば様を睨み付けた。
「言いなりになるのは嫌だが、身内が傷つくのも嫌だし、な。一応、言うことは聞く」
香芝の言葉にみんなが頷いた。
「まあ、そうだね」
「死ぬのは嫌だし」
香芝の後ろで、同意するような声が囁かれた。
「魔法使いになってやろうじゃねぇか」
香芝が魔法使いたちを挑発するように言った。
未来を香芝の背中を見つめた。何故か、香芝の言葉に不安がよぎった。
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