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「あの、キッチンはないんですか?」
未来はキョロキョロしながら尋ねた。
「そこに四角い突起があるでしょう。そこに手を当てて、食べたい物を思い浮かべるの。そうすれば食べ物がでてくるわ」
リレンが指差したところに、確かに四角形の突起があった。
「何か食べたい物はある?」
未来の知らない声が、りんごと答えた。
リレンは頷くと、四角形の部分に手を触れた。すると、本当にりんごがでてきた。
「すげー、本当に出てきた!」
「うあっ本物だ!」
二十人は触ったりかじったりして感動して、りんごが本物であることを確認した。
それが済むと、リレンがみんなに自分の部屋を教えてくれた。
「さぁさぁ、自分の部屋に入って。明日から魔法の修業よ。明日の朝、みんなを迎えに来るわ。服は部屋にあるから、それに着替えてね。
質問はある?」
一年生の女子が手を挙げた。確か、名前は戸田凛だ。
「服って、皆さんが着てる服ですか?」
「そうよ。これは、ローブっていうの。みんなの着るのは色と形も違うけどね」
そういえば、リレンとおおばば様のローブの所々違う。リレンは布にスリットが入っていて動きやすそうだが、おおばば様のローブはゆっくりとして布がリレンより多く使われている。
おおばば様は、部屋に入ろうとする未来たちに言った。
「今日は疲れたろ。安心して、とはいかんかもしれんが、ゆっくりおやすみ」
おおばば様とリレンは、微笑むと消えてしまった。
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