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未来は渡された飴をしげしげと見つめた。何処からどう見ても、手のひらの上で転がっている飴は普通の飴に見える。おかしな所があるとすれば、見た目以上にずっしりとした重みがあることか。
「この飴には、あなた方に魔力を与えると同時に、あなた方自身の魔力を封じる魔法がかかっております。これはあくまで魔法を体に慣らす為の魔力で、三年後の解放の儀で飴の魔力は消え去ります。
解放の儀とは、飴が封じたあなた方自身の魔力を解放する儀式の事です。魔力を解放すれば、様々な変化が起きますが、飴を食べることでも多少の変化はあります。わかりましたか?」
アリユの言っていることは何となくだが、理解出来た。
「一応」
「はい」
「まあまあ」
未来達はバラバラに返事をした。
しかし、いざ食べるには覚悟がいる。未来は飴を見つめ続けた。
「食べて下さい。さぁ、毒は入っていませんよ」
アリユは促すように一人一人を見つめた。
未来は沙也加と顔を見合わせて、おもいきって飴を口に入れた。
「美味しい」
「ホントだ。普通に飴だ」
周りでも恐る恐る飴を食べて、不思議そうに顔を見合わせていた。
一人一人味が違うのか、未来はオレンジで、沙也加は苺の味がした。
全員が食べたのを確認すると、アリユは言った。
「では、お勉強をしましょうか」
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