~序章~

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薄暗い…… その部屋には窓がなく染みやカビの生えた天井にある一本の蛍光灯が弱々しく光を放っていた。 もう一本ある蛍光灯は古さのためか端が黒ずんでいて蛍光灯としての役目を果たせないでいた。 薄汚い木製のベッドがあった。 私はそこで寝泊まりしている、いや、そうするしかないのだ。 もう私がここに来てから何日経ったかさえ分からなかった。 ここは多分地下室。私がいくら叫んでも誰も助けてはくれなかったから。しかしこことは違う別の部屋に私と同じ境遇の人がいることをしった。扉の向こうから女性の助けを求める声を何度か聞いたから。 それで私は売られるんだと悟った。 この部屋には扉が1つあった。 その扉には覗き穴があり時々私を覗く深い深淵のような目があった。 毎日決まった時間に扉の下にある隙間から料理が入れられる。 私は初めここに来た時はそれを食べなかった。 怖かったからだ。ずっと震えていた。
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