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…という訳だ…」
誰もが言葉を発する事が憚れていた時、乖の苦しそうな呻き声が穏やかな呼吸に変わり心拍数が安定した。
この時はただ嬉しかったんだ。兄が助かったと思い込んでいたから。これがXC-2557の発病前の状態だとは気付かなかったんだ。
医者が乖の状態を確かめてその場にいる全員を安心させるように微笑んだ。
「よし、心拍数、呼吸共に安定。安心して下さい、危機は脱しました」
母が嬉し泣きをし父が安堵の息を吐いた。
蒼は急に安心して尿意を感じてトイレに行きたくなった。
「トイレ行きたい」
「じゃあ俺と一緒に行くか」
閃義と連れだって集中治療室を出てトイレに向かって並んで歩き出す。
何故この時トイレに行ったのだろうか?行っていなかったら母も父も生きていたかもしれないのに…
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