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確かに勇次にはそういうところがないわけではなかった。
時々、異様に騒ぐのだ。そのたびに自分はハラハラさせられどおしで…。
騒ぐ理由に心当たりがないわけでもなかったが、それを聞いても上手くはぐらかされてしまうのがオチだ。
他人に(例えそれが相棒でも)触れられたくないキズをつくってしまったとき、それを隠そうとしていつも以上に騒ぐ、明るく振る舞う。
勇次はいつもそうだ。
そうやって作ったキズを忘れようとする。だからといって忘れられるわけでもないのは、本人も十分わかっているのだろうが…
騒げば騒ぐほどそれがキズの大きさに比例しているようで、他の奴なら放っておくのに、勇次の場合、それができないのがやっかいだった。
『ホントにこいつは…。』
敏樹は苦笑した。
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