931人が本棚に入れています
本棚に追加
掴まれていた右腕にはくっきりと赤く手の跡が付いていた。
足元にある白い腕はぴくりとも動かない。
部屋が静寂に包まれていく。
次に何が起こるか分からないので、全神経を研ぎ澄ましいつでも動けるような態勢をとる。
来るなら来い。
「くすっ。」
耳元で囁くように後ろから笑い声が聞こえた。
「誰だ!?」
寒気を振り払うように勢いよく後ろを振り向いたが誰もいない。
「気のせいか?」
「くすっ。」
再び聞こえた笑い声に、条件反射の如く後ろを振り返るがまたしても誰もいない。
苛立ちが募る。
「なんだよっ!!出るならさっさと出てこいよっ!!」
大声で喚き散らすが、虚しく部屋の壁に吸い込まれていく。
「くすっ。こっちだよ。」
素早く辺りを見回すが誰もいない。
「くすくすっ。くすくすっ。あははっ。ぎゃっぎゃっ。」
不気味な笑い声が部屋を埋め尽くしていく。
「あ―っ!!やめろっ!!笑うなっ!!」
あまりの気持ち悪さに気がふれそうだ。
「くすっ。コッチダヨ。」
最初のコメントを投稿しよう!