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「・・・へい。」
遠くから声が聞こえる。
誰だろう?
心地良い淡い光の中で俺は漂う。
「修平。」
えっ?
ぐんと光の中から引っ張られていく。
何処へ行くんだ?
一気に淡い光が強い光に変わっていく。
「修平。」
「うっ。眩しい。」
目の前にはまばゆい光を発する蛍光灯と、少しやつれた年配の女の人がいた。
「修平。目が覚めたのね。よかった。本当によかったわ。」
「・・・・母さん?」
そうだ。
今、俺の目の前で泣いている人は母さんだ。
じゃあここは何処だ?
どうやら俺は寝ているようだ。
首を左右に動かして周りを見る。
左には窓と花瓶。
右には何かの機材と液体の入った袋。
そして、鼻につく薬の臭い。
「病院?」
回らない頭で必死に答えを捻り出した。
「そうよ。ここは病院よ。」
母さんは涙を拭いながら俺の質問に答えた。
「なんで俺は病院にいるの?」
浮かんでくる疑問が口からこぼれていく。
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