出口のない闇

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「あなたはね、誰かに頭を殴られて、道に倒れていたところを発見されて運ばれたの。」 「誰かに頭を殴られて?」 誰に? 何処で? 「・・・・あっ。」 埃を被っていた記憶が徐々に明るみに出てきた。 たしか、知香をナイフで殺したあと、風呂場で体を切り刻んだんだ。 ・・・・。 ざしゅっ。 何回刺しただろうか、血溜まりはさらに広がり、ナイフを持つ手が真っ赤に染まっている。 知香は全く動かなくなっていた。 体に突き刺さっているナイフから手を離し、血に染まる両手を見つめた。 それまで頭に上っていた血は一気に下がり、冷静さを取り戻していった。 「俺は・・・・何をしたんだ?」 2つの死体を前に冷や汗が止まらない。 「どうしよう?」 震える手には刺した瞬間の生々しい感触が残っている。 小百合は俺が殺したわけじゃない。 でも知香は・・・・。 もし警察に捕まったら人生が駄目になる。 なんとかしなきゃ。 なんとかしなきゃ。
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