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「り、良平っ」
声が震える。
良平は勢いよく顔を上げる。驚くのも無理はない。
あたしから声かけるなんて、付き合い始めてから、無に等しいもん。
それも手伝ってか、なかなか次の言葉が出ない。
えぇい頑張れあたしッッ!!根性出せっ!!
「ご飯、一緒に食べへん?」
「あ、でも凜太とかが…」
良平が慌てながら周りを見回す。
近くに固まって座ってた凜太と翔介は、笑って「良い良い」と、GOサイン。
麗奈さん、根回し十分っつうことですね。時々あなたが恐い。
「……良いみたいやから……行こっか」
頭をかきながら、鞄を持って立ち上がる。そして、照れたように、そそくさと足早に教室を出た。
あたしは、良平の隣を歩きながら、その横顔を伺った。
なんか、嬉しそう……。あたしの顔も自然と綻ぶ。
そうや、いつもそうやった。良平が嬉しそうやと、あたしも嬉しくなる。
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