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胸がぽっかり空いた気分だった。
何でだろう。
どうしたんだろう。
私は強いはずなのに。
寂しくて仕方がない。
「雫月ーっ!!」
バタバタと追いかけてくる足音が聞こえた。
肩を捕まれる。
でも振り返らない。
あんたじゃないのよ。
この穴を埋められるのは。
「ごめん一哉、離して?」
そしてまた一人、歩き出す。
しばらくして公園にたどり着いた。
夕暮れが迫る中、子供たちは家へと帰って行く。
私は今夜はどうしようかな?
ベンチに座ってぼんやりと考える。
噴水の水が夕日に照らされて、キラキラと輝いた。
綺麗…
ぼーっとしていたら、足元に突然何かが触れて驚く。
トラ猫が甘えるように、体を擦り付けていた。
「…チビちゃん」
「…」
「お前も寂しい?」
「ミャー」
しゃがみこんで喉元を撫でてやると、目を細めてグルルと泣いた。
「…どうしてこんなに寂しいんだろうね?」
首をかしげたような間抜けな顔が可愛らしかった。
抱え上げて、頭を撫でる。
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