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午後7時。
チビちゃんと遊んでいる間に、すっかり辺りは暗くなってしまった。
誰かの家にお邪魔しようかなぁ。
「いっそお前と野宿しちゃおうか!?」
「ニャー」
そうもいかないんだよなぁ…
「二ノ宮さん?」
聞き覚えのある声に、飛び上がるほど驚いた。
振り返ると立花が目を丸くして突っ立っていた。
「な、何…あんた何してんの?」
「バイトの帰りで…」
チビちゃんはどこかへ走っていってしまった。
っていうか見られた?
遊んでいるところ。
柄じゃないのに…恥ずかしい。
慌てて制服を正した。
そんな私を見て、立花は口許を隠しながら笑っている。
「何笑ってんだよ」
「ご、ごめん…今帰りなの?」
「別に?帰らないし」
しばしの沈黙。
聞いてはこないけれど、なんで?とか思ってるんだろうなぁ。
立花の次の言葉を待つ。
「良かったら僕ん家来る?」
「は?」
思いもよらない言葉の意味を、理解するまでに時間がかかった。
「いや…お腹空かない?嫌なら別に良いんだ。誘ってごめん。」
困ったように笑う立花を見ていたら、なんだか断れなくて…ぶっきらぼうに言葉を返す。
「…別に良いけど」
「良いの!?」
「あんたから誘ったんじゃん!調子狂うなぁ…なんなの?」
ほんと、変な奴。
「ぁ…ごめん。そうだよね…。じゃ、じゃぁ、行く?」
おろおろとしている立花の後に続く。
本当は一緒にいたかっただなんて、口が裂けても言わない。
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