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「あっれぇ?雫月ちゃん?」
公園の入り口で聞き覚えのある猫撫で声がした。
嫌な予感。
金髪の3人組が煙草を吹かしてこちらを見ながら、ケラケラ笑っている。
「………」
シカトして歩き続ける。
ってか見覚えはあるけど、誰?って感じ。
「雫月ちゃん?シカトなんてひどぉ~い」
ヘラヘラと近寄って来る。
まずい。
私だけならとっくに走り出している。
横目で立花を見る。
状況がつかめていないようで、ぽけーっとした間抜けな顔。
…逃げきれるわけない。
ゆっくりと振り返って、向き直る。
「…うるさいな。何?」
ああ、面倒だな。
「あ~そ~ぼっ」
「先約あるから無理」
…うせろ。
ムカムカしてくる。
「元カレに向かってそれはないんじゃないの~?」
呆気にとられた。
元カレも何も、名前すら知らない。
それだけ価値がないってこと。
「はぁ?あんたと付き合ってないし」
言った途端、腕を掴まれる。
「痛っ!離してよ!!」
どうしよう…どうしよう…
焦りだけが募る。
立花を巻き込みたくない。
逃がさなくちゃ…
「二ノ宮さん…嫌がってるじゃないですか…」
立花が急に口を開いた。
バカ…
「二ノ宮さん…嫌がってるじゃないですかぁ~…」
一人がバカにしたように立花の言葉を真似した。
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