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窓から差し込む陽光で目が覚めた。
目の前には見慣れない天井。
隣で眠る友達。
友達って言うほど仲いいかは別だけれど。
ああ、そっか…
昨日そのまま泊まったんだっけ?
「…痛っ」
飲みすぎたからか、固い床で寝ていたからか…
身体中が痛んだ。
「変な夢…」
自分の見た夢を思い出す。
目の前には白い羽の生えた、金髪の清澄な男性が立っていた。
そして私には黒い羽。
彼と私は恋人だった…
甘美なキスを交わして光になった。
この世じゃないような美しい場所で。
キスなんて今まで星の数ほどしてきたけれど。
あんなに優しいのは初めてで…
まるで実際に口付けたかのような感触が、唇に残っていた。
そっと触れてみる。
「…ただの夢よ」
馬鹿馬鹿しくなって大きく頭を振った。
私の名前は二ノ宮雫月(ニノミヤナツキ)
普通の女子高校生…ではないのかも。
学校なんてつまらない。
家にいたって苦しいだけ。
毎日好き勝手に遊んで、自由気ままに生きている。
俗に言われる不良かな?
良くないなんて、誰が決めるのか分からないけれど。
勝手にシャワーを拝借して、薄く化粧をする。
着崩した制服。
色素の抜けた髪。
学校でもかなり浮いている方だろう。
でも私は私のやりたいようにやる。
誰の指し図も受けない。
行きたい日に学校に行く。
そして今日はそんな珍しい一日だった。
踵を潰したローファーを履き直して、私は運命の出会いへと向かう。
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