116人が本棚に入れています
本棚に追加
うちの学校の屋上に鍵はかかっていない。
規制さえしなければ、屋上なんて誰も来ないものだ。
暑いし。
眩しいし。
よく物語の中でサボリ場所として登場するけれど。
そんな風に考えるのは、世間知らずのお坊っちゃんぐらいだ。
居心地悪い所でサボるバカはいないっつーの。
案の定、扉の向こうには誰もいなかった。
誰もいないからこそ、この場所が好き。
私は変わり者なのかもね。
私だけの世界。
ごく普通の公立高校の屋上。
屋上の入り口の屋根の上。
この学校で一番高い場所。一番太陽に近い場所。
ここが私の定位置。
辺りの景色が一望できる。
私はここで誰かを…待ち続けている。
なんとなく、そんな気がする。
照りつける日差しは大切な誰かを思わせる。
そよぐ風は誰かに頬を撫でられるようで。
大の字になって、雲一つない空を仰いだ。
そんな時、突然扉は開かれた。
最初のコメントを投稿しよう!