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気まずい雰囲気。
「ぁ、そこって…どこから登るんですか?」
睨みは全く効果ないらしい。
ってかこっちに来るのかよ。
KYってすごい。
半ば感心しながら、気だるく後ろを親指で差した。
弱々しい階段。
好きにすれば。
私には関係ないしね。
ゆっくりと登ってくる。
本当に来るのかよ…
格別な景色に彼は驚きの声を上げた。
「お昼寝するなら、最高の場所ですね」
邪魔してるのはお前だよ。
微笑んだその顔を見たら、嫌味な台詞も喉元でつかえてしまった。
あんまりにも眩しくて、彼から目を反らした。
綺麗なものは苦手だ。
こちらの様子を伺うかのように、性懲りもなくオドオドと話しかけてくる。
「いや…あの…邪魔してごめんなさい…」
まったくだよ。
「………授業は?」
「へ?2時限目始まってますよ?」
「そ~じゃなくて…あんたみたいのは真面目に授業受けてる時間じゃないの?サボり?」
「ぁ…はい。たまには…サボってみようかなぁって…」
なんだ、つまんない。
ただの気紛れかよ。
でも意外と根性あるんだなぁ。
初サボリって顔をしてる。
「………名前は?」
「立花…立花詩陽です…。君は?」
「二ノ宮…」
人には関心を持たない私が名前を聞くなんて、いよいよおかしくなったか…
立花 詩陽。
まぁ覚えてやるぐらいはいいかな。
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