一幕 夢、希望、未来

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「完全勝利ディオライノス、完全制覇ダイザード……か……」 薄暗い研究室で一人の老人がキーボードを慣れた手付きで叩いていた。 彼の名前は天文寺 雷蔵(テンモンジ ライゾウ)。ロボット工学のエキスパートで、科学をかじった人なら誰もが知っている有名人だ。 「人類は未知のパワーに頼りすぎておる……。せめて自分の身を守れるだけの力は必要なんじゃ……」 ディスプレイに、三機のロボットの設計図が写し出される。 「やはり、エンジンの出力が弱すぎるのぉ……。これではダメじゃ……」 天文寺博士はキーボードの操作をやめ、イスにもたれかかった。 「使えば使うほど、強くなるエンジン……。そんな夢みたいなモノは無いかのぉ……」 「ありますよ……」 突然に研究室に声が響いた。 「誰じゃ!?誰が入って来ていいと言った!!」 暗闇から男が現れる。 「これは失礼しました……」 ノア・ジーバルトだった。 彼はジーバルト星の王子で地球にムドの襲来を教えた人物だ。 「ふん!若僧が何の用じゃ…」 「あなたがムドに対抗できる力を開発していると聞いて、力になれればとはるばるやってきたのです」 その言葉を聞いた天文寺博士は急に暗い顔になる。 「完成まであと一歩なんじゃ……。じゃが……エンジンの部分がどうしても上手くいかん……」 ノアは一歩踏み出して、こう言った。 「ご心配なく。こんなエンジンはどうでしょうか?」 ポケットからCDを取り出すと、パソコンに入れた。すると中央の大きなディスプレイにある設計図が写し出された。 「こ……これは……」 「ジーバルト星が産み出した未完のエンジン……。ZENKAIエンジンです……」 「す、素晴らしい……。ZENKAIエンジン……」 「ジーバルト星では資源の量の関係で作れなかったモノです……。しかし、地球の豊富な資源なら……」 「ジーバルト星?と言うことは……君がノア・ジーバルトかの?」 「はい………」 「このエンジン……使わせてもらっていいのかの?」 「もちろんです!!地球を守る力はいくつあっても足りないんです……。遠慮せずに使ってください!」 「フフフ……。ありがたく使わせてもらうよ……」
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