一幕 夢、希望、未来

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朝の教室では昨日のペーパーテストの話題で盛り上がっていた。あちこちで仲の良い友達どうしが集まって、笑い合っている。 そんな中、不機嫌そうな顔をして男5人組のグループに囲まれている男がいた。 「おい、無欠。また、テスト最下位だったのかよ。相変わらずだなぁ♪ハハハハハハ」 「…………」 男の名前は水野無欠(ミズノムケツ)。少しだけ茶色がかった長い黒髪を頭の後ろでまとめているのが印象的な男だ。顔は美形の部類に入るのだが、背は低く、成績もよくない……。いわゆる三枚目キャラである。 「あんな簡単なテスト、一桁だなんて信じられねぇ。こいつの頭、何でできてんの?」 テストが終わると、この5人組は毎度のように無欠をからかう。無欠はいつものように机に突っ伏して奥歯を噛み締めながら高笑いを聞いていだ。 「実技も最低、いったい何でこの学校にいるんだ?」 「…宇宙………」 無欠はボソリと小声で言ったあと、伏せていた顔を上げる。その目には決意が見られた。やがて今度ははっきりした声で言った。 「宇宙が好きなんだ。俺はいつか絶対に宇宙飛行士になる」 それを聞いた無欠のクラスメイトは大笑い。口々に酷い言葉を言っている。 「無理だよ、無理。無欠が宇宙飛行士になれたら犬だってパイロットだよ。ハハハハハ!」 「…………」 無欠はまた、うつ向いてしまった。やがて立ち上がり、クラスメイトの笑い声を背中に受けながら教室を後にした。
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