一幕 夢、希望、未来

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「ムド……」 追い付いてきた雪が、小声で呟いた。雪は冷たい目を巨大ネズミにむかって向けている。 「ムド?あれが……」 ムドとは少し前から地球を征服しようとしている宇宙犯罪組織のことである。現在、日本ではディオライノスとダイザードという二機のスーパーロボットがムドの脅威から人類を守っていた。 しかし、ムドがこの町へ現れるのは初めてのことである。それどころか九州地方にすら来たことがない。無欠はムドのバケモノをテレビでしか見たことがなかったために、どこか遠い世界のことのように思っていた。そいつが今、目の前で暴れているのである。 「行かなきゃ……」 雪はボソリと自分に言い聞かせるように呟くと、走って教室を出ていってしまった。あまりの突然さに無欠は驚くが、彼の脳裏にすぐ、“避難”の二文字がよぎった。青城さんは逃げ出したのだろうと無欠は決めつけ後を追った。 「青城さん、待って!俺もいく!!」
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