664人が本棚に入れています
本棚に追加
天気予報が梅雨入りを宣言した六月。
僕達は相変わらず三人でいたね。
小雨が降る中、僕達は傘をさして家とは逆方向へと歩いていた。
「藤宮、ゲーセン行かないか」
そんな護の言葉がきっかけ。
到着したのは、去年オープンしたアミューズメントパーク。
ボーリングやカラオケ、ゲームセンターなど何でも有りの施設。
ゲームに興味がない僕は、颯と護のプレイを後ろで見ているだけ。
護はある意味ゲーマーだから、上手いのは知っていたけど、颯も負けていない。
二人で格闘ゲームを対戦しているんだけど、ほぼ互角の勝負。
どちらかといえば、護の方が押されていた。
「くそっ。御子柴に負けた」
「田口、ジュース奢りな」
「仕方ないな。藤宮は?」
奢りついでに、僕にも奢ってくれるつもりらしい。
「僕はココアね」
だからしっかりリクエスト。
自動販売機に向かう護と颯を見送り、僕は近くのベンチに腰を下ろす。
「仲いいんじゃない」
自動販売機の前でジャレ合う二人に、自然と笑みが溢れる。
「藤宮、お待たせ」
自分のジュースと僕のジュースを手に、護が駆け寄ってくる。
いいのかな?
護が手にしているのってコーラなんだけど。
それに気づいているのか、颯が後ろで笑いを噛み殺している。
護からココアを受け取り、気づかれないように距離を取る。
「うわっ。冷てぇ~」
最初のコメントを投稿しよう!