穏やかな初夏

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   颯の予感は的中。  何の躊躇いもなく護が開けたコーラは、見事にカッターシャツにかかる。  「馬鹿だな」  「馬鹿だね」  炭酸飲料なんだから、振ればこうなる事ぐらい予測出来ているはずなんだけどなぁ……。  せめてコーラじゃなくてサイダーだったら、こんなに目立たなかったのに。  コーラじゃ、いくら拭いても染みになってしまう。  「もういい」  拭くことを諦めた護は、カッターシャツを脱いで、Tシャツになった。  「下に着てたのが黒で良かったな」  嫌味を言うのだけは、忘れないんだ。  「うるさい。元々、御子柴が悪いんだろう。俺のコーラを振りやがって」  僕からはジャレているようにしか見えなかったんだけど、護は颯に取られたコーラを取り戻そうとしていたらしい。  「だったらその段階で、開けたらどうなるか分かっていたんだよね?」  なのに開けるんだから、やっぱり護は馬鹿だよ……。  「田口の負けだな」  颯の一言で終わり。  その後も散々ゲームをし、店を出る頃には真っ暗になっていた。  学校以外で君と初めて遊んだ日。  意外な一面に驚いたけれど、  とても楽しい日だったよ……。
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