18人が本棚に入れています
本棚に追加
ふたりに重い荷物を運んでもらって自宅マンションに帰り着いた悠姫は、制服をハンガーにかけると、ベッドに倒れ込むようにごろんとなった。
入学式に出て、クラスではちょっと自己紹介しただけなのに、やけに疲れてしまった。
明日から早速午後まで授業があると思うと、ついついため息が出てしまう。
蒼馬と静馬に言われたように、あの少女と友だちになれたらいいなと思う。
これから三年間あそこに通うのだから、友だちのひとりやふたり、いたほうがいいに決まっている。
いつまでも蒼馬と静馬にばかりくっついているわけにはいかない。
ふたりだって、特に静馬は、いくらでも新しい友人を作れるだろうし、その時、自分が常に横にいたら邪魔になりかねない。
それに、と悠姫は美晴のことを思い出す。
もうあんなふうに、誰かが蒼馬や静馬に寄せる想いに言われるまで気付かない、なんてことにはなりたくなかった。
美晴はやさしい性格だったから、美晴の気持ちにまったく気付かなかった悠姫を笑って見逃してくれたけれど、これからもそういう問題がまるくおさまるとは限らない。
最初のコメントを投稿しよう!