1、入学

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講堂を出て校舎のほうへ歩いていくと、入試の合格発表があった掲示板にクラス割が張り出されていた。 悠姫は蒼馬を一組に、静馬を二組に見つけ、そのどちらにも自分の名前がないことにがっかりした。 肝心の自分のクラスを確認せずぼんやりしていると、 「悠姫は三組だぞ」 蒼馬に言われ我に返った。 「元気出せよ。三人とも隣のクラスじゃん」 「中学の時だって別々のクラスだったろ」 静馬と蒼馬に口々に言われ、悠姫は一瞬、子どもが自分のわがままが通らずむくれるような表情になった。 が、蒼馬と静馬に頭をぽんと叩かれると、はっとした。 もう高校生になったのだ。 いつまでもふたりに甘えてはいけないと、少なくとも子どもの頃のようにべったりしていてはいけないと、美晴に静馬への想いを告白された時に決心したことを思い出す。 徐々にでも幼なじみ離れをしなくては。 いい、と言うのに三組の教室まで蒼馬と静馬に送り届けられ、悠姫はふたりに複雑なまなざしを向けた。 悠姫ひとりがふたりから距離を取ろうとしても、ふたりも同じように考えてくれなくては、悠姫のひとり立ち計画もままならない。
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