18人が本棚に入れています
本棚に追加
講堂を出て校舎のほうへ歩いていくと、入試の合格発表があった掲示板にクラス割が張り出されていた。
悠姫は蒼馬を一組に、静馬を二組に見つけ、そのどちらにも自分の名前がないことにがっかりした。
肝心の自分のクラスを確認せずぼんやりしていると、
「悠姫は三組だぞ」
蒼馬に言われ我に返った。
「元気出せよ。三人とも隣のクラスじゃん」
「中学の時だって別々のクラスだったろ」
静馬と蒼馬に口々に言われ、悠姫は一瞬、子どもが自分のわがままが通らずむくれるような表情になった。
が、蒼馬と静馬に頭をぽんと叩かれると、はっとした。
もう高校生になったのだ。
いつまでもふたりに甘えてはいけないと、少なくとも子どもの頃のようにべったりしていてはいけないと、美晴に静馬への想いを告白された時に決心したことを思い出す。
徐々にでも幼なじみ離れをしなくては。
いい、と言うのに三組の教室まで蒼馬と静馬に送り届けられ、悠姫はふたりに複雑なまなざしを向けた。
悠姫ひとりがふたりから距離を取ろうとしても、ふたりも同じように考えてくれなくては、悠姫のひとり立ち計画もままならない。
最初のコメントを投稿しよう!