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席は男女混合のあいうえお順だった。
ちゃんと机の隅に小さく名前が張ってある。
悠姫は自分の席を見つけて座った。
初日は担任と生徒がそれぞれ簡単に自己紹介し、必修科目の教科書を配布され、時間割を渡され終了した。
蒼馬に聞いていたとおり選択科目の時間があったが、それはまた後日希望を出すらしい。
悠姫は教科書が詰まった重い紙袋をぶら下げ、そそくさと教室を出た。
廊下に出ると、すでに蒼馬が待っていた。
ごく自然な動作で悠姫の荷物を持ってくれる。
悠姫は怪訝な顔をされながらも、替わりに蒼馬の鞄を持った。
静馬のクラスはまだ終わらないらしかった。
ふたりが並んで立っていると、通りかかる生徒たちがちらちらとふたりを盗み見ていく。
「蒼馬が新入生代表だったからだね」
悠姫は嬉しくて言った。
「早く教えてくれたらお祝いとかしたのに」
教室からガタガタと椅子の音がする。
廊下の気配を察し、悠姫が待っているかもしれないと思った静馬が、真っ先に飛び出してくる。
「悪い、待たせた」
静馬は、蒼馬がすでに悠姫の重い荷物を持ってやっていることに、安心したような腹立たしいような気持ちになりながら、ふたりに駆け寄った。
静馬のクラスから出てきた生徒たちがこちらに目をとめるのに気付き、悠姫はみんな双子を見ているのだと思うが、双子は悠姫を見ていると思い不愉快になる。
特に男子の目には悠姫をふれさせたくない。
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