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「・・・」
(私・・・どこへ連れていかれるんだろ?)
助けが来ないのに私はなぜか落ち着いていた。
(またどっかのビンボーな盗賊達かしら?身代金を取るためにゴーレムを使った誘拐・・・)
(まさか闇の三人衆じゃないわよね・・・)
(・・・)
「怖いよぅ。」
目に涙が浮かんだ。
その時。
ズバッ
ゴーレムの腕が切断され、私は床に落ちた。
「痛っ!何!?何なの!?」
尻餅をついて上を見上げると、そこには大剣を持ったアイツがいた。
「正義のヒーローさんじょー!俺カッコイイ~!」
訂正。
そこには大剣を持ち、ダサイポーズをキメたアイツがいた。
「・・・アンタ何でここにいるのよ?」
「ん?お前が誘拐されたから。助けにきた。」
「・・・」
「アレ?ビンタしねーのか?」
「・・・何で・・・」
「?」
「何で助けに来たの?」
「いやだからお前が誘拐されたから。」
「赤の他人じゃない。」
「まあ、そうだが。」
「今日会ったばかりじゃない。」
「まあ、そうだが。」
「私には分からない!見ず知らずの人間を何で助けられるの!?そんなことして何かいいことあるの!?逆に襲われて殺されるかもしれないのよ!?何で!?何でなの!?」
「・・・」
「・・・」
「・・・俺バカだから。」
「・・・え?」
「頭悪いから。俺バカだから。」
「・・・」
「俺はお前みたいにイロイロ難しいこと考えられねー。ただ助けたいと思ったから助けに来た。それだけ。俺は今までそうやって生きて来たんだ。あ、もちろんこれからも。」
「・・・単純で・・・バカね・・・」
「おうよ。」
こんなに寒い台詞なのに・・・
何故か心から安心できた。
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