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「だって、そうだろう!? あんな構造をしていたら、飲んだ後、口の周りや鼻の下が白くなるのは当然じゃないか! そして生産者が、そんなコトを予測できないわけがない!
従ってこれは、教室内でだれかをからかうネタにするために提供された、意図的な罠に違いないんだ!」
「…………」
市橋くんはハアハアと息を切らしながら、その瞳をギラギラさせている。
どうやら本気で言っているに違いないことは女の子にも理解できたが、はたしてなんのことを言っているのかまでは、よくわからなかった。
市橋くんのセリフには、主語がないのだ。
ひと通り好きなように語れて満足したのか、市橋くんは「ふうっ……」と軽く息をついた。
そして、いい汗をかいたいい顔で、女の子を見つめる。
「──というわけだ。これがボクの考える牛乳に対する持論さ。理解してもらえたかな?」
女の子は、無言で首を横に振った。
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