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『オレ、あんま星に詳しくないけど…あれがオリオン座ってことはわかるっ!
…本当に綺麗だよなぁ』
私はつられるように、空を見上げた。
今は…昼間。
雲ひとつない晴天の青空――なのに、私は星空を見上げてる気分になる。
これが…私の記憶の断片。
“消したい”のに…“消せない”過去。
“思い出したい”のに…“思い出すことができない”記憶。
ただ虚ろな幻景を見て私は軽く…微笑するしかない。
「あなたは…誰なの?」
空に手を伸ばしても届かなくて。
「私は…誰なの…」
その手を引っ込めるしかなかった。
どうしてこんなことになったのだろう。
…確か、咲夜さんが言ってた。
今、私は高校1年生。
彼女はこの間、丁寧に…そして簡潔に今の状況を教えてくれた。
それは“私”の物語。
地面においてあった、赤い本を手にし、ページをめくる。
そして私は…。
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