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それは――中学校最後の始業式が終わったあとのこと。
すでに1月に入り、雪が降りそうな重たい鉛雲を…窓から平凡と見つめる。
雪は――嫌い。
だって、“溶けちゃう”から。
「茜さんっ!手伝ってください!!」
全てが終わり、誰もいないはずの教室。
とっくに始業式は終わってたけど、私らはこの教室に残された。
私と、彼が。
茜「えぇ…やり方わからんよ。瀬井頑張れ♪応援だけならするっ!」
瀬井「他人事ですね…」
彼――瀬井 稜弥【せい たかや】は悲しそうに呟いたけど、あえて無視した。
いつも何か眠そうな顔をしていて…ある意味落ち着く。
…何故私たちが残されたのか。
それは、もうすぐ行われる市の音楽祭に向けての準備で、カセットの入れ換えをしていた。
その仕事を任されたのは、私たち合唱委員だからという。
中学最後の行事だから頑張ろう、とこの委員会をやったのだけど。
私は経験のある瀬井に全て押し付けて…彼を困らせている。
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