☆痛み☆

2/19
前へ
/230ページ
次へ
それは――中学校最後の始業式が終わったあとのこと。 すでに1月に入り、雪が降りそうな重たい鉛雲を…窓から平凡と見つめる。 雪は――嫌い。 だって、“溶けちゃう”から。 「茜さんっ!手伝ってください!!」 全てが終わり、誰もいないはずの教室。 とっくに始業式は終わってたけど、私らはこの教室に残された。 私と、彼が。 茜「えぇ…やり方わからんよ。瀬井頑張れ♪応援だけならするっ!」 瀬井「他人事ですね…」 彼――瀬井 稜弥【せい たかや】は悲しそうに呟いたけど、あえて無視した。 いつも何か眠そうな顔をしていて…ある意味落ち着く。 …何故私たちが残されたのか。 それは、もうすぐ行われる市の音楽祭に向けての準備で、カセットの入れ換えをしていた。 その仕事を任されたのは、私たち合唱委員だからという。 中学最後の行事だから頑張ろう、とこの委員会をやったのだけど。 私は経験のある瀬井に全て押し付けて…彼を困らせている。
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

279人が本棚に入れています
本棚に追加