1766人が本棚に入れています
本棚に追加
「…なにをされると思ったんだ?キスでもすればよかったか?」
壮一郎さんは、からかうような口調で小声で言って、私との間に距離をとった。
それからすぐに他の生徒が私達のいる書棚を横切っていく。
壮一郎さんは、その生徒の背中が見えなくなるのを待って、また私の目の前に立った。
冷静な人だ。
イヤになるほど動じない。
私はかぁぁっとほてる頬を抑えて壮一郎さんをきつく見やった。
「急に手が近くなってちょっとびっくりしただけですから!キ、キスなんてしてほしいなんて思ってません。」
「僕の事意識してるくせに。」
「し、してないです。」
「嘘が下手だな、蝶子は。そんなんで今日啓太になんていうつもりだ?」
最初のコメントを投稿しよう!