彼氏の兄

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「…なにをされると思ったんだ?キスでもすればよかったか?」 壮一郎さんは、からかうような口調で小声で言って、私との間に距離をとった。 それからすぐに他の生徒が私達のいる書棚を横切っていく。 壮一郎さんは、その生徒の背中が見えなくなるのを待って、また私の目の前に立った。 冷静な人だ。 イヤになるほど動じない。 私はかぁぁっとほてる頬を抑えて壮一郎さんをきつく見やった。 「急に手が近くなってちょっとびっくりしただけですから!キ、キスなんてしてほしいなんて思ってません。」 「僕の事意識してるくせに。」 「し、してないです。」 「嘘が下手だな、蝶子は。そんなんで今日啓太になんていうつもりだ?」
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