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私はケンカにならずになんとか壮一郎さんと図書室で会った事を伝えようとして、さっきから考えていた。
「…でね、そんときあいつがさあ…って、蝶子?」
話の途中で啓太くんが立ち止まった。
私は啓太くんが止まったことさえ気付かず、何歩か先に進んでしまってから慌てて振り返った。
「なに、啓太くん?」
「蝶子、考え事してた?」
「あ、うん…ごめんなさい。」
啓太くんは私のすぐ前まで来て、顔をのぞき込んだ。
「蝶子、ここにシワが寄ってた。年取った時怒りジワになっちゃうぞ?」
自分の眉間をチョンチョンと指して言われて
「え!嘘!」
と眉間を隠す。
「蝶子、面白い。」
啓太くんはケタケタ笑って、すぐに口をとがらせた。
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