過去の夢が告げる

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過去の夢が告げる

病院から出てみると、冷たい風が頬を撫でた。まだ春になったばかりで、外には僅かに冬の寒々しさを引きずったような気候が広がっていた。重々しい曇天を見上げる。 雨が降りそうだ。 大通りに出てタクシーを捕まえる。 タクシーに揺られながら、これからの生活について考えてみることにした。 隣町にある自宅までは、まだかなり時間がある。 有名な資産家だった祖母が亡くなってからというもの、広大な邸宅には私だけが取り残された。 まともな職に就けるような体ではないため、高校を卒業してからはずっと家でおとなしく暮らしている。 悲しい事に、私の生活は祖母が遺してくれた財産と保険金で成り立っているのが現状だ。  
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