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沈黙。
「ぁ……あ!そうだ!ねぇ!私UFOキャッチャーやりたい!」
「……にゃに?」
沈黙する中、人が軽く自己嫌悪に陥っているというのに、この人は何をいきなり言いだすのだろうか。
「ほら!行こ!?」
目をキラキラと輝かせて席を立つ結衣は、先ほどまで消え入るような言葉を発していた結衣だとは思えない。
これはもう昔からよくあった事だが、相変わらずあり得ないほど切り替えが早い……。
私は半分呆れながらいつものキャラに戻る。
「……人が心配してやってんのに。空気読め」
「バカ、空気は読むもんじゃなくて吸うもんでしょーが!ほれ!善は急げッ!」
「いや、別に善じゃないしお金かかるし」
「バカ!やりたい事が善じゃない訳ないでしょ!はい、レッツゴー!」
「もー!人をバカバカゆーな!」
「さぁゆくぞーッ!」
ハニカミながら走って行く結衣。
「あ、ちょ!私まだメロンソーダ全部飲めてないのに!」
遅れてその後に続いていく私。
暴走したら止まらない結衣と、その暴走を密かに楽しんでいる私。
狙ってボケる結衣と、そこにすかさずツッコミを入れる私。
遅れていれば引っ張っていってくれる結衣と、それに甘えながらも自分で一生懸命進んでいこうとしている私。
いつでもそうだった。
なのに、なんでだろうね?
なんで私達が……。
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