[1]現実と非現実の境界線

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沈黙。 「ぁ……あ!そうだ!ねぇ!私UFOキャッチャーやりたい!」 「……にゃに?」 沈黙する中、人が軽く自己嫌悪に陥っているというのに、この人は何をいきなり言いだすのだろうか。 「ほら!行こ!?」 目をキラキラと輝かせて席を立つ結衣は、先ほどまで消え入るような言葉を発していた結衣だとは思えない。 これはもう昔からよくあった事だが、相変わらずあり得ないほど切り替えが早い……。 私は半分呆れながらいつものキャラに戻る。 「……人が心配してやってんのに。空気読め」 「バカ、空気は読むもんじゃなくて吸うもんでしょーが!ほれ!善は急げッ!」 「いや、別に善じゃないしお金かかるし」 「バカ!やりたい事が善じゃない訳ないでしょ!はい、レッツゴー!」 「もー!人をバカバカゆーな!」 「さぁゆくぞーッ!」 ハニカミながら走って行く結衣。 「あ、ちょ!私まだメロンソーダ全部飲めてないのに!」 遅れてその後に続いていく私。 暴走したら止まらない結衣と、その暴走を密かに楽しんでいる私。 狙ってボケる結衣と、そこにすかさずツッコミを入れる私。 遅れていれば引っ張っていってくれる結衣と、それに甘えながらも自分で一生懸命進んでいこうとしている私。 いつでもそうだった。 なのに、なんでだろうね? なんで私達が……。
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