[1]現実と非現実の境界線

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「ねぇ、君達もしかして今からも暇してるぅー?」 こんなチャラい奴らに絡まれなきゃいけないんだろうか。 「俺達とデートしない?」 初めて見た。というか、初めて体験した。ナンパなんて、都会の街でしかないんじゃないかって勝手に思っていたし、なにより自分達が知らない男に話掛けられるなんて思ってもみなかった。 いや、ナンパというよりからかっているだけかもしれないけど。 「……私達予定あるんで」 先程とはうってかわって、凛とした、はっきりと意見を言う強気な口調の結衣。 相手は暇な大学生か高校生か、って感じの男二人組。頭は金髪、耳にはピアス。悪いけどそれだけでチャラいな、と偏見を持ってしまう。 結衣の隣でオドオドしている自分は情けないな、と思いながらも、行動に移れる程の勇気が私にはない。私は結衣から一歩下がった位置で既に逃げ腰状態だ。 ねぇねぇ、と軽い感じで話掛けられ、それから今まで質問攻めにあってたんじゃあ流石にビビる。 「ひゃー、冷たい!いいじゃん、デートしようよ」 いくら嫌な顔して適当に返事を返していても、彼らはいっこうに引かない。 一歩踏み寄られれば、私と結衣は一歩後退りする。 「ねぇ……俺達と、遊ぼ?」 また一歩踏み寄られた、その時。 「…………あ!」 結衣が何かを見て遥か先を指さした。
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