[1]現実と非現実の境界線

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一人でいると、たまに思う。 自分中心に世界が回っている訳ではないって言うけれど、実は世界は自分を中心にできていて、一人一人違う理想の、自分に合った世界の中で生きているのではないのか、と。 一人一人が違う思いの世界で生きていて、だけどそれを完全には再現しきる事ができず、気づかぬうちに願っている通りの幸せと、恐れている通りの苦痛が共存している。 そして、矛盾している。 世界は、崩れている。 矛盾矛盾矛盾。 ……何故? 「な、に……これ……」 こんな世界、私は知らない。 ……現実って、何? 『グチャ……』 刺さる刃は、胸を貫いている。 だが、滴る雫は、ない。 道端には、倒れている老人と少年。 そこには、赤い水溜まり。 砕けたコンクリート、地面は割れている。 辺りは、崩壊していた。 人も、家も、見る物がいつもと変わっていた。 「……いや」 堂々と『バケモノ』の上に足を掛け、手には槍のような、鋭利な何かを持っている、男。 その男がもつ何かが、『バケモノ』の胸を貫いている。 『バケモノ』から血は、出ていない。 「……いやあぁぁぁぁ!!」 私は初めて『バケモノ』を見た。 そして、初めて遭遇した。 『バケモノ』に、その『バケモノ』との戦闘の現場に……。
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