[1]現実と非現実の境界線

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それ以来、結衣はいつも私の前に立って守ってくれた。私の為に、あんなに仲良くしていた主犯の子とキッパリと対立して私と仲良くしてくれて。すぐに泣いていた私をいつも慰めてくれて。 今では結衣こそが私の本当の親友なんだな、と心から思える様にまでなった。 ただ、一つだけ、結衣と一緒にいて困る事がある。そこまで困る訳ではないけれど、直せるなら直して欲しい、結衣の性格。 「ねー、マイフレンド」 「ん?なーに?」 急に足を止めた結衣からの呼びかけに、私も足を止めて振り返る。ちなみに、私の事を名前で呼ばない結衣にツッコミを入れる気はない。 結衣は右を向き、一点を見つめていた。その目付きは、無駄に鋭い。 結衣が見つめる先を私も見る。その瞬間、結衣が何を言いたいのか、もう一発でわかった。 わかっていながらも、結衣に聞く私。 「……急にどぉし… 「プール!」 目をこれまた無駄に輝かせながら、私の言葉を遮りつつ、結衣は叫んだ。 でた、結衣の悪いクセ。唐突で、しかも言い出したら聞かなくなる、結衣の悪いクセ。 結衣と私が見ていた先にあるもの、それは錆びたフェンスを越した先にある大型の市営プール。 そういえば昔はよく結衣と来たっけなぁ……。最近は全然来てないや。でも、今はダメ。というか無理。 「ダーメ。私お金そんなに使いたくないし、水着だってないし、それに制服だし」 「最初二つはわかるけど、制服なのはダメな理由に入る訳?」 最初に指摘するトコ、そこですか。
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