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「拗ねちゃいーやー」
「うるさーい。結衣が悪いんだからねーだ」
言いながら、私の正面に座る結衣は両手を伸ばし、私を抱き寄せようとしてくる。が、ことごとく拒否する私。
お金は使いたくないっていったはずなのに、結局ここで使う羽目になってしまったし。まぁ、プールの変わりに冷房がきいたトコロに行きたいと言った結衣に素直に着いて来てしまった私自身も悪いんだけど……。
ストローを通してメロンソーダを口にしながら適当な話題を探す私。
うん、冷たくておいしい。
「あーあ。買い食いや寄り道はホントはいけない事なんだけどなぁー」
私の頭に適当に浮かんできた事、それは校則についてだった。メロンソーダの入った紙コップを見つめながらわざとっぽく、少し大きな声でつぶやいた。
急に話題を変えたけど、結衣は至って普通に返事を返してくれる。
「この前自分だって、たこ焼き食べたーい、とか言って私と一緒に買って食べたクセに。それにそんな校則、守ってる人のほうが少ないって」
「だよねだよね。自宅謹慎とか特別指導とかになりそうなのには気をつけてるけど」
他の学校の生徒といざこざを起こしたり、警察にお世話になっちゃったり、それぐらいの事をしでかしてしまえば、いくら義務教育中とはいえ私立校なので最悪の場合、退学処分となってしまうような身の私達。
実際、過去に数名だけ退学処分を受けた者がいるとも聞いた事がある。
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