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私達の通う学校は比較的平和なトコロではあるけれど、それでもやっぱり生徒同士のいざこざぐらい普通にあるし、学校外でのやりすぎたイタズラだって聞いた事がある。
まぁ、いつも部外者である私には関係のない事だけど。
「……そういえばさ、」
「んー?」
再びストローに口をつけた私は結衣の問いかけに、そのままの状態で相槌をうつ。
先ほどのハイなテンションから、少なからず落ち着きを取り戻して私に問う結衣は、どこか遠くを見ながら話し出した。
「やっぱり彼も……何かやらかして退学になったのかな?」
……一瞬の沈黙。
空気が、嫌に冷たく感じた。
「……違うんじゃない?」
予想もしていなかった問いに、返した声が震えていないか心配になる。何故か結衣の顔を直視できなくて、視線だけをテーブルの端に向けた。
「……少なくとも、私は違うと思ってる」
「だよ……ね」
結衣の声は静かな風を思わせる、今にも消えてしまいそうな小さな声。
そんな彼女に何も言ってやれない自分が腹立たしく思えてくる。
「……ごめん。変な事聞いて。そうだよね、違うよね。うん、もう忘れよう。ごめんね、話変えよっか」
無理した笑顔を向けてくる結衣を、私はやっぱり直視する事ができなかった。
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