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その部屋も、今の部屋とさほど変わらなかった。
少し広く、床には綺麗な模様の絨毯が敷かれている。
「気付かれましたか?」
その声に私は、ビクッと歩む足を止めた。
見ると、女性が椅子に腰かけて、何やら布をかがっていた。
見たこともない女性だ。
その女性は手を休め、こちらに歩いてきた。
「もう少し、お休み下さい。お熱があります。」
「えっと…あの…」
分からない事だらけだった。
「そうですね、お着替えはこちらです。」
私の言葉を、違う意味でとらえたらしく、その女性はそばにあった服らしきものを手渡す。
「いや、違くて…。ここはどこですか?」
私は痛む頭を我慢しつつ、女性に聞いた。
「甘寧様の船でございます。」
???
「貴方様は、甘寧様の船の傍の浜辺に、お倒れになっていらっしゃいました。」
「そこを甘寧様が見つけ、船までお運びになったのです。」
????
「甘寧様は、ずいぶん心配して、ついさっきまで、ずっと傍にいらっしゃったのですよ。おめずらしい事なのですが…」
女性はクスッと笑って言った。
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