船の上

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「じゃあ、あんたは、本当に魏も、蜀も、この呉国も知らないんだな?」 「はい。」 「そんで、ニホンとかいうとこから来たと。」 「はい…。」 私はうつむく。 その人はふうっと息を吐いて言った。 「分かった。となりゃ、もう俺の管轄外だ。とりあえず俺よりは、分かる奴のとこまで連れて行くから、準備してくれ。」 「準備…?」 「その格好でいいなら、俺は嬉しいぜ?」 !!! 「っ!」 私は真っ赤になった。そうだ私はまだシーツ一枚で…!! 恥ずかしさに下を見て、丸くなった。 「これに着替えな。」 さっき女性が持っていた着物らしきものを投げてくる。 ?? 「あの…これどうやって着るんですか??」 見たこともない服に、私は目が点になる。 その人は苦笑いすると、さっきの女性を呼ぶから、とそのまま出て行こうとする。 「あのっ!それからっ!」 「あん?」 「あなたは…」 「ああ、俺か。」 その人は白い歯を見せて、笑いながら言った。 「甘寧だ。」 腰に付けた鈴を鳴らしながら、その人は出て行った。 「……甘寧さん。」
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