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「泣くなよ…女の涙にやぁ弱いんだ。」
甘寧は、頭をかきながら言う。
「わかんねぇ事だらけで怖えかもしんねぇが、心配すんな。」
「ありがとう、ございます…でも、…どうして、こんな親切に、してくれるんですか…?」
私は、泣きながら甘寧に聞く。
「あんたは、困ってる奴を無視できるのか?」
甘寧は笑って言った。
「気にすんな。好きでやってんだからよ。」
「でも…」
「もう、泣くな。」
「はい…」
私は涙を拭いて、笑顔をみせた。
「とりあえず、もういっぺん化粧し直しだな。」
「ひどいです。」
私は膨れっ面になる。
甘寧は、ははと笑った。そしてふと、気付いたように、
「それから、気になったんだが…耳に付いてる、そりゃあ、なんだ?」
「…?これは…ピアスです。」
耳を触りながら答える。私の耳には誠からもらった、誕生石のピアスがあった。
「ぴあす?耳飾りの一種か?」
「えっと、耳飾りとちがって…耳たぶに穴を空けて、付けるんです。」
「あなぁ…?」
甘寧は、目を見開いた。
「よく、そんないてぇ事できんな。信じらんねぇ。」
「‥身体中刺青の、甘寧さんに言われたくないです。」
「ちげぇねぇや。」
私はここへ来て、初めてお腹の底から笑った。
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