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それから間もなくして、船は港へと着いた。
溢れるような人々で、活気に満ちている。
「呉は、水軍が自慢なんだ。」
驚いている私に向かって、甘寧は笑って言った。
彼の後をついて歩いていくと、私は人々が、甘寧に頭を下げてる事に気付いた。
「もしかして…甘寧さんって偉い人なんですか?」
「…偉いってぇ…」
甘寧は苦笑いを浮かべる。
「ま、一応ここの水軍まとめてんの俺だかんな。」
「偉いじゃないですかぁ…」
私は唖然とする。
そんな人の傍に私なんかがいて、大丈夫なんだろうか?
現に人々は、不思議な顔しながら私を見ている。
私はますます恥ずかしくて、下を向いた。
「あんた、それ癖かい?」
「は…?」
顔を上げると甘寧が見つめていた。
またすぐ下を向く。
「それだよ、それ。なんで下向くんだ?」
「えっと…」
「元がいいんだからよ。もったいないぜ?もっと自信持って、胸張って歩きな。」
そんな事言われた事無かった…。
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