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「そうだ。あんた、馬には乗れるのか?」
「馬!?…乗った事無いです…車とかないんですか?」
私は、しどろもどろに答える。
「くるま?…こっちの移動手段は馬か船なんだが…ここいらは馬車もないしな…」
甘寧は少し考えると、近くにいた男の人に何か言っていた。
その人はうなずいて、走り出す。
「城まで歩くにゃ、ちょっとあるんだ。俺はいいんだが、あんたにゃ無理だろうな。」
「私っ!大丈夫ですっ!」
甘寧に、これ以上迷惑をかけたくなかった。
「いやぁ、無理だ。女の足じゃ、丸一日はかかる。」
丸一日…。
ちょっと辛いかもしれない。
決意が、もう折れそうになる。
その時、さっきの男の人が一頭の馬を連れて戻ってきた。
綺麗な栗毛色の馬だ。でも、馬ってこんなに大きかったっけ…?
私は迫力に圧倒された。
「ははは。そんな恐がんなくても。黄林は人間を襲ったりしねぇよ。」
「黄林?」
「この馬の名前さ。」
甘寧が馬の首を叩くと、ぶるると馬が頭をゆらした。
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